THノベルズ「愛と勇気と友情と」 [図書室]
「結局奴は俺のことなんか、友達とも何とも思っちゃいないんだ!」
男は、グラスをテーブルに叩きつけた。
はずみでこぼれた酒が、テーブルをぬらす。
男の頭上で揺れる白熱灯が影を揺らし、テーブルの水たまりに昼と夜を繰り返した。
「そんなことないよ、おれたちいい仲間じゃないか。」
明らかに飲み過ぎだ。そんな男を心配しつつ、友人は肩を抱く。
「もうそんなに飲むなよ…、体に悪いぞ…」
裏通りの酒場、ほかに客はいない。
この店だけが、彼らのオアシスだった。ここでなら、思いっきり愚痴だって言える。
アルコールの据えた匂いが、店を満たしていた。
「今日だってそうさ、結局あいつだけがおいしいところを持っていくんだ!」
「おれたちだって、頑張っただろ?違うか?」
色白の顔を朱に染め、男は叫んだ。
彼らはチームだ。足りないところを補い合い、これまでいくつものミッションをこなしてきた。
しかし、どんなミッションをこなしても、主役は「あいつ」だ。
彼ら二人はアシスタントでしかない。
「ああ、お前も、おれも頑張ったよ。それは俺たちが一番よくわかっている。」
「だから、それでいいじゃないか。」
慰める友人の言葉にも力はない。友人も自分の境遇をよくわかっているからだ。
グラスの酒をあおる。そんな飲み方はよくないことは、よくわかっている。
しかし、男には飲みたくなる時もあるのだ。
だから、友人もつい口を滑らしてしまった。
「お前はまだいいよ、あんなかわいい子に好かれているんだから…。」
「おれなんて、誰もいない…。」
男は驚いたように、友人を振り返る。
「おまえ、そんな風に思っていたのか?」
「彼女とは何にもない!それはお前だってわかっているだろう?」
「わかってるさ!だけど、お前のことを見ている人がちゃんといるんだぜ。」
「それだけでも幸せじゃないか?」
男は空になったグラスに、視線を落とした。
「そうかもしれない…。でも、彼女のことは何とも思っていないんだ…」
空になったグラスに新しい酒がつがれた。
「そうだな。お前はそういうやつだよ。」
「だから、おれはお前と一緒にいられるんだ。」
「まさかお前…」
「…その先は言わないでくれ。」
「…」
「さあ、乾杯しようぜ。俺たちの明日のために!」
友人は、本音を漏らした気恥ずかしさを隠すように、明るくグラスを掲げる。
男もそれに応えるように、グラスにおとしていた視線を友人に向けた。
「ありがとう、俺こそお前がいてくれてよかったと思っているよ。」
「これからもよろしくな。」
「ああ、こちらこそ」
二人は、友情を確かめ合うように笑みをかわすと、グラスの酒を一息で飲み干した。
「まあ、奴だって俺たちがいないと何もできないんだしな。」
「そうさ、あれで周りが見えないところがあるからな。それでピンチになるんだ。」
「さて、そろそろ帰るか。」
「ああ、明日も見回りがあるからな。」
「親父!お愛想!」
肩を組んで店を出るショク●●マンとカレー●●マンの背に、テーマソングが鳴り響く。
♪愛と勇気「だけ」が友達さ~
-----------------------------------------------------------
こんにちは、THです。
たくさんのコメントいただき、ありがとうございます。
いやあ、kkさん厳しい!今回はいかがですか?
この話は続きません(笑)
加筆訂正版は、時間をみながらゆっくり書き進めていくつもりです。
しばらくかかるかなぁ…。
前作に固有名詞をつけないのもわざとでしたが、SSだから通用したんでしょう。
これを一冊に(最初から)まとめたら、無理でしょうね。
時系列も、もう少し整理しないといけないですね。
やばい…、キャパ超えるかも…
さて、今回のSSはいかがでしたか?もちろん●●には同じ言葉が入ります。
前作っぽい導入ですから、騙されていただけましたか?
そうです、前作そのものが前振りだったのです。(というのは嘘ですが)
途中で(題名から?)ネタばれのところもありますが、にやりと笑っていただければ成功です。
これからも硬軟取り混ぜて作っていきますので、よろしくお付き合いのほど。
では。
男は、グラスをテーブルに叩きつけた。
はずみでこぼれた酒が、テーブルをぬらす。
男の頭上で揺れる白熱灯が影を揺らし、テーブルの水たまりに昼と夜を繰り返した。
「そんなことないよ、おれたちいい仲間じゃないか。」
明らかに飲み過ぎだ。そんな男を心配しつつ、友人は肩を抱く。
「もうそんなに飲むなよ…、体に悪いぞ…」
裏通りの酒場、ほかに客はいない。
この店だけが、彼らのオアシスだった。ここでなら、思いっきり愚痴だって言える。
アルコールの据えた匂いが、店を満たしていた。
「今日だってそうさ、結局あいつだけがおいしいところを持っていくんだ!」
「おれたちだって、頑張っただろ?違うか?」
色白の顔を朱に染め、男は叫んだ。
彼らはチームだ。足りないところを補い合い、これまでいくつものミッションをこなしてきた。
しかし、どんなミッションをこなしても、主役は「あいつ」だ。
彼ら二人はアシスタントでしかない。
「ああ、お前も、おれも頑張ったよ。それは俺たちが一番よくわかっている。」
「だから、それでいいじゃないか。」
慰める友人の言葉にも力はない。友人も自分の境遇をよくわかっているからだ。
グラスの酒をあおる。そんな飲み方はよくないことは、よくわかっている。
しかし、男には飲みたくなる時もあるのだ。
だから、友人もつい口を滑らしてしまった。
「お前はまだいいよ、あんなかわいい子に好かれているんだから…。」
「おれなんて、誰もいない…。」
男は驚いたように、友人を振り返る。
「おまえ、そんな風に思っていたのか?」
「彼女とは何にもない!それはお前だってわかっているだろう?」
「わかってるさ!だけど、お前のことを見ている人がちゃんといるんだぜ。」
「それだけでも幸せじゃないか?」
男は空になったグラスに、視線を落とした。
「そうかもしれない…。でも、彼女のことは何とも思っていないんだ…」
空になったグラスに新しい酒がつがれた。
「そうだな。お前はそういうやつだよ。」
「だから、おれはお前と一緒にいられるんだ。」
「まさかお前…」
「…その先は言わないでくれ。」
「…」
「さあ、乾杯しようぜ。俺たちの明日のために!」
友人は、本音を漏らした気恥ずかしさを隠すように、明るくグラスを掲げる。
男もそれに応えるように、グラスにおとしていた視線を友人に向けた。
「ありがとう、俺こそお前がいてくれてよかったと思っているよ。」
「これからもよろしくな。」
「ああ、こちらこそ」
二人は、友情を確かめ合うように笑みをかわすと、グラスの酒を一息で飲み干した。
「まあ、奴だって俺たちがいないと何もできないんだしな。」
「そうさ、あれで周りが見えないところがあるからな。それでピンチになるんだ。」
「さて、そろそろ帰るか。」
「ああ、明日も見回りがあるからな。」
「親父!お愛想!」
肩を組んで店を出るショク●●マンとカレー●●マンの背に、テーマソングが鳴り響く。
♪愛と勇気「だけ」が友達さ~
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こんにちは、THです。
たくさんのコメントいただき、ありがとうございます。
いやあ、kkさん厳しい!今回はいかがですか?
この話は続きません(笑)
加筆訂正版は、時間をみながらゆっくり書き進めていくつもりです。
しばらくかかるかなぁ…。
前作に固有名詞をつけないのもわざとでしたが、SSだから通用したんでしょう。
これを一冊に(最初から)まとめたら、無理でしょうね。
時系列も、もう少し整理しないといけないですね。
やばい…、キャパ超えるかも…
さて、今回のSSはいかがでしたか?もちろん●●には同じ言葉が入ります。
前作っぽい導入ですから、騙されていただけましたか?
そうです、前作そのものが前振りだったのです。(というのは嘘ですが)
途中で(題名から?)ネタばれのところもありますが、にやりと笑っていただければ成功です。
これからも硬軟取り混ぜて作っていきますので、よろしくお付き合いのほど。
では。
THん。
まずは。遅ればせながら前作はお疲れさまで知多!!
みなさまのご意見に乗っかって。
加筆等々楽しみにして魔麩ね!!
で。
今回。。。。。。。。
狙い通りで麩。
やられ魔知多!!
楽しかったで麩~!!!
これからもいっぱい楽しませて蔵灰ね!!!
by 014けんづる (2009-08-27 07:33)
にやり( ´∀`)
by 002Z (2009-08-27 08:14)
おー、THっちん、こんなのも書けるのね!\(^_^)/
ショク●●マンとカレー●●マンが荒れてグラスをあおってるとこ・・・想像して思わず笑ってしまった。(そこ
by 015 猫目 (2009-08-27 17:43)
しょくぱんまんとかれーぱんまんはお酒なら濡れても平気なんだと言うことがわかりました!(ぇ
あう
by a.u. (2009-08-27 17:47)
見事に引っかかりました。
携帯で読んでたので、前作のサイドストーリーかな
と読み始め、次ページでニヤニヤと
電車で怪しい人に(^^;
次が楽しみ\(^^)/
by 022 koge (2009-08-27 18:54)
THさんこういうのも行けるんですね!
最初、「おお最近はやりのボーイズラブか?」
なんて思っていましたが(笑)
まさか、子供に大人気のドラゴンボー〇とは(違
え?プリキュ〇じゃないか?
あ、アンパンマ〇でしたね(ぇ
今後、堅い・柔らかいを織り交ぜていただけるとのこと。
麩麩麩、益々学園から目が離せなくなりましたねえ。
また来週!
by 061 CSの語り (2009-08-28 07:08)
見事に釣られたので思わずコメントを(笑)
思わず読み返して、なるほど~!と。
オトナの世界ですねぇ(´ω`)
by 019まりも (2009-08-28 07:27)
やられたぁぁぁぁっ!!
タイトルは伏線で、またまたサスペンスな展開が待っているのかと…
THノベルズはバラエティ豊かな品揃えなんですねぇ。
爽やかに騙されました。
by 030 ダルコ (2009-08-29 08:26)