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THノベルズ「昔みたい」 [図書室]

S駅を降りて、15分ほど歩く。

表通りから一本入った、オンライン通りにその店はある。

*****

「やあ、いらっしゃい。今年も終わりですね、お世話になりました。」

グラスを磨きながら、マスターが声をかけてくる。

「いや、こちらこそ。もう、みんな来てますか?」

「ええ、皆さん二階に集合しています。」

「わかりました。それじゃ、後ほど。」

*****

二階ではすでに、いい色になった常連客が談笑していた。

小部屋の入り口には「喫煙室」の三文字が見える。

目当ての顔は、紫煙の向こうでグラスを片手に熱く語っているようだ。


つき合わされている男の視線が泳ぎ、視線がぶつかる。

苦笑しつつも喫煙室のドアを開けると、座るより先にグラスが突き出された。



「久しぶりだな、ぜんぜん顔を見せないじゃないか!」



「いやあ、別のところではよく出てるんですけどね。特に最近は出すぎじゃないかっ
て話も…。いや、私のことなんかどうでもいいんですよ。そちらこそどうなんです?」

「何を言っているんだ。来年早々本も出るし、絶好調に決まっているじゃないか!」

「何を言っているんですか、そもそも今年出る予定がずれ込んだんでしょ?みんな楽しみにしているんですから、もうちょっと考えてもらわないと。」

「おや?君も楽しみにしているのか?あれだけ締め切りを守れとなんのと騒いでいたのに。」

「私の話じゃないですよ、こうして忘年会に来ている常連さんのことです。」



「なに、君は楽しみじゃないって言うのか?聞き捨てならんな、そもそも担当といえば「一心同体○○隊」のはずだ。それを、プレッシャーをかけるだけとはどういうこ
とだ。」



「いえ、○○さんにはスーダンで感謝しています。いま担当している別のFさんの遅れなんて、かわいいものと思えるようになりましたから。」



久しぶりというのに、相変わらずの二人だ。

喫煙室を抜け出し、常連さんの輪に入った。



*****



「いやあ、この間は楽しかったねえ…」



「次回も楽しんでいきましょう!」



「いや、その前に一本背負いかまして、押さえ込みに入ったと思ったらいつの間にか帯がほどけてて…」



「麩麩麩、相変わらずで麩ね。」



「で、次の人選なんですが…」



こっちも会話が弾んでいる。あのリレー企画はよっぽど楽しかったらしい。うまくつながるといいのだが…。


そうこうしているうちに、近くのお寺から除夜の鐘が聞こえてきた。

しかしここに集った全員の煩悩を消すには、108つではとても足りないだろう。



マスター、今年もお世話になりました。



「いや、俺は何もしていないよ。そもそもマスターなんて、表に出てはいけないんだ。」



「でも、マスターがいたから、みんなが集まれたんですよ。」



「違うな、まだわかっていないようだ。俺もこの店もついさっきできたわけではない、ずっとここにあったんだ。君たちは自分の意思でこの店に集まったんだ。違うかい?。誰も強制なんかしていないよ、好きに集まって、好きに出て行けばいい。俺もこの店もずっとこのままだ。」

「…。」

「さあ、年も明ける。カウントダウンも始まったようだ。みんなで乾杯しようじゃないか。来年も、もっといい年になるように。」





こんばんは、THです。



もっと早く、別の話を考えていたのですが急遽差し替えました。

アップを遅らせたのも、この話の結末にあわせたものです。



いろいろな人を連想するかもしれませんが、ここに登場する人物はすべてハクション、いえ、フィクションです。

「これ、俺じゃねえか?」と思ったあなた。断言します「誤解です!」



私もネタ切れで、当初のコメント投稿を思い出して書いてみました。

喫茶ポイズンリターンズってことで。



しかし、今年は面白い一年でした。

来年どうなるかは、また来年のお楽しみ。

とりあえず1月7日はお休みをいただく予定です。





そもそも、(楽屋ネタで恐縮ですが)この連載枠って、コメントネタの焼き直しを想定していたものでした。でも思いつきで「無償の…」から始まる自作小説連載に(半
ば強引に)持っていったものでした。



今年一年間、こんなつたない小説を読んでいただいた皆さん、本当にありがとうございました。

そして、この場を提供していただいたけぇちゃん、ありがとうございました。



2010年がここに集った皆さんにとって、今年以上にすばらしい年になりますように。







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【寄贈本】バイクのある風景 HONDA VT250F -ヌコ文庫- [図書室]

晩秋の空は抜けるように高く晴れ上がっていた。
国道42号線の田辺市から南へ下るルートを、数台のバイクが駆け抜けていく。
青い海と青い空が遙か彼方の水平線を境に上下に分かれ、その色を競い合っているように見える。
曲がりくねって上下する海岸線に沿った道路上で、視界が開ける度に飛び込んでくるその青を目の隅に捉えながら、猫田は右へ左へ、忙しく体を移動させていた。
クシタニの革ツナギに、同じくクシタニのブーツ、赤いアライのヘルメットはもちろんスネル適合品だ。
操るのは、HONDA VT250F。V型2気筒、4ストローク、最高出力35ps/11000rpm。4ストロークであるが、2ストロークエンジンと並ぶ最高出力を、高回転で得ている。
当時、バイクは400cc全盛期でもあり、400ccと250ccでフレームを共用しているものがほとんで、250ccは下位モデルという位置付けの車種が多かったが、VT250Fは250cc専用に設計されたフレームを積んだ、当時としては画期的なモデルであった。
赤いフレームにブラックのボディ、そこに赤いシートが乗り、セミカウルの付いたスタイルは、レーシーな雰囲気を醸し出していた。
上富田を抜けて、椿から日置へかかる国道を、いつものように先頭を行くのは浦部のKAWASAKI KH400だ。2番手は長谷川のYAMAHA RZ250R、猫田のVT250が3番手を走っている。
その後に、ちょっと遅れて中田のSUZUKI RG250ガンマ、どん尻はこれまたいつものように、辻本のHONDA HAWK IIだ。


バイクは、基本的に車体を傾けてコーナーを曲がる。
遠心力が働くので、それを打ち消すために、必然的にそうなるのだが、それにも限界はある。
通常、当時のバイクでは、車体を傾けていくとまずドライバーが足を置くステップが地面を擦り始める。
そこで、バックステップという、本来のステップより後で、かつ上方に取り付ける別売りパーツを取り付けて、バンク角を稼ぐのが常套手段だ。
すると、車種によっても違うが、次にセンタースタンドと言って、バイクを停車しておく時に立てる、車体中央にある2本足のスタンドが地面に当たる。こいつも改造して上げる。
続いて、クランケースやらフットブレーキやらマフラーやらが当たり出すわけで、クランクケースのカバーの角を切り取ったり、色んなことをやってできるだけバイクを傾けられるようにするのだ。
それでも当然、それもいずれ限界は来るわけで、さらにコーナリングスピードを上げようとすると、重心をできるだけ低くして、内側に持って来る必要がある。
これはつまり、ドライバーがやる。
バイクの内側に、なるべく低い位置でぶら下がるように体を持って行く。
例えば、左コーナーなら、右足の膝下をバイクに引っかけたような形で、左足はバランスを取るためにくの字にコーナーの内側に開く。
ハングオンというやつである。
できるだけ内へ、できるだけ下へ体を移動させるわけで、つまりは、これまた最後に今度は膝が地面を擦ることになる。
そこで、革ツナギの膝には、鉄のパッドが入っている。
内側の膝を擦りながら曲がっても、膝がすり切れないようにである。
右へ左へ、ひらりひらりと、体を移動させながら極限までバイクを傾けてコーナーをパスして行く様は、とてもスリリングだ。


いつも先頭を走る浦部は、5人の中では走りが最も過激で、常にアクセル全開でぶっ飛んでいく。
しかも、その最速男が操るマシンは、なぜか曲がらない事で有名なKH400だ。
KH400は、その車体を寝かせにくい事で有名だ。
このバイク、エイヤっと思い切って重心を移動しないと傾いてくれないのだ。
だが、ある地点を越えると、今度は恐ろしいほどに傾いていく。ここのさじ加減が難しいのだが、最速男浦部は、これをマスターしている。
それでこそ最速なのだ。
何故、これほどの腕を持つ浦部が、最近のカウル付きのレーサー風バイクでなく、古いKH400に乗っているのかは誰も知らないが、この曲がらない、乗りにくいバイクを浦部は気に入っているようだ。
しかし、最速が故、最も事故率が高いのもまた浦部である。
二ヶ月ほど前、転倒してあちこち凹んで塗装の剥げた浦部のKH400は、みんなでパテ埋めして、再塗装を施したばかりで、黄色のタンクが秋の陽を弾いている。
2番手はいつも長谷川だ。長谷川もかなりの乗り手で、浦部に負けず劣らず速い。長谷川は、普段CB750Fに乗っているが、このグループで走りに出かける時は、他のメンバーが400ccと250ccばかりなので、RZ250Rで参加する。
猫田は3番手だ。浦部ほど切れた走りはしないし、長谷川ほどテクニシャンでもないが、一応先頭の二人にはついていく。
猫田はこの3番手を結構気に入っている。
トップを走る浦部とそれを追う長谷川というトップ2台の限界ギリギリコーナリングを、そのすぐ後ろで見ながら走れるのだ。
舞台で言えばかぶりつきというやつで、最高の特等席だ。
100mほどの下りの直線が終わって、直角に近い右コーナー、アクセル全開からフルブレーキング、左の路肩一杯から、浦部のKH400がひらりと右に傾いてクリッピングポイントを目指す。
1車ほど遅れて長谷川のRZ250Rと猫田のVT250Fが折り重なるようにコーナーに飛び込んでいく。
「浦部・・・ちょっと速いな」
いつもよりブレーキングポイントがやや遅く、コーナー進入速度が少し速いように感じた猫田は、浦部のKH400をシールドの右隅に捉えながら思った。
すぐに、浦部のKH400のクランクケースが地面に擦れて、シャンシャンと火花が散るのを、猫田の目が捉えた。
長谷川のRZ250Rのフレームも波打っているが、バンク角の深いRZはまだどこも接地していない。
ぞくりとする瞬間だ。
その時、KH400から散る火花がいつもより大きい事に気づいた。
と思った途端、「ジャッ!」とさらに火花が大きくなり、KH400のフレームがゆらゆらと揺れて捻れたかと思うと、映画のワンシーンのようにそこだけスローモーションで、左前方から斜め後へKHと浦部がアスファルトの上を滑って行くのが見えた。
そう、特等席は事故のシーンもかぶりつきで、なぜかそれはいつもスローモーションだ。
「やってもた!」
長谷川は間一髪でうまくKH400を左に流してサイドをすり抜ける。RZは1車遅れていた分巻き込まれずにすんだ。猫田も視界から消えていく浦部とKH400をシールドの隅に捉えながらRZに続く。
すぐに直線で体勢を立て直して減速、猫田と長谷川はUターンして加速する。
コーナーに戻ると、KH400はガードレールに引っ掛かっているが、浦部の姿が見えない。
バイクを止めてガードレール越しに、コーナー外側をのぞき込む。
10mほどの斜面の下に、浦部が倒れている。どうやら斜面を滑り落ちて行ったようだ。
そこへ、遅れていた二人もやってくる。
猫田と長谷川は慌てて斜面を駆け下りる。
「浦部!」
「おぅ、なんとか生きてる・・・」
ヘルメットを脱ぎながら、浦部は情けなさそうに笑った。
見ると、左手首の辺りから出血している。
「血ぃ出てるやん。大丈夫か?」
「なんとかな。うまいことガードレールの隙間抜けたんで助かった。そやけど、その時左手をガードレールに引っかけてもたんや」
「そうか、立てるか?」
長谷川が肩を貸す。
「いててて・・・」
「アカンか?」
「足も捻ってるみたいや」
結局、二人で担いでなんとか斜面を上った。
「ほんなら、長谷川、いつもの単車屋のおっちゃんに電話して、単車取りに来てもらうように言うてくれるか。オレは、こいつ病院まで運んでくるわ」
「わかった」
なんとかタンデムシートに浦部を座らせ、猫田はVT250Fのエンジンをかける。
「大丈夫か? しっかり捕まっとけよ」
「うん。右手は大丈夫や」
「よっしゃ。ほな行くでぇ」
アクセル全開でぶっ飛んできた道を、猫田は浦部を乗せて慎重に戻っていく。
「大丈夫かぁ?」
「なんとかな」
「直ったらまた走りに来うな」
「そやな」
「お前がおらんかったら、長谷川がトップになるど」
「そや。そらアカンわ。やっぱりトップはオレや」
「うん。そやそや、お前が最速や」
「んー・・・なんか眠たなってきた」
「おい! 寝たらアカンど! そうや、KHまた塗り直しやなぁ。今度は赤にするかぁ? それか、いっそのことJPSで行くか?」
「ああ・・・」
コーナーをゆっくりとパスしながら、国道を上っていくVT250Fの向こうには、相変わらず青い海と空が水平線まで広がっていた。
やがてこの光景が、想い出という名のアルバムの1ページを飾り、それがセピア色に変わる頃、猫田は潮風を切って走るVT250Fの姿を懐かしく振り返る事になるのだが、その時は目の前のコーナーをいかに速く走り抜けるかが全てだったわけで、それが青春というものなのだろう。
1980年代の、とある秋の休日の事である。

おわり
---------------------------------

この物語はフィクションです。
実在する人物、団体等には一切関係ありません。

なお、バイクの仕様等、うろ覚えのとこもあって全部調べてウラを取ってるわけでもないので、間違ってるとこもあるかと思いますが、その辺りはご愛敬と言うことで。m(__)m

ということで、ついにネタ切れで(^^;;)、ちょっとおセンチになって、バイクで走ってた頃の事を思い出してみました。
猫がVT250Fに乗ったのは、会社に入ってからなので、本気でかっ飛んでたのはもう少し前、1970年代後半ですが、VT250Fを主役に持って来たので、若干年代を後にシフトしてます。
VT250Fの発売が、1982年やからね。

なので、バイクの車種も数年のひらきがあります。
KHと一緒に走ってた頃は、スズキのGT乗ってたな。
学生時代は金がなかったので、もちろんオンボロの中古車。

そういう意味で、フィクションではありますが、書いてる事はほとんど実話ってのは内緒。(^_^)

しかし・・・わからん人にはさっぱりわからん世界やろなぁ。(笑)
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THノベルズ「幸せな時間」 [図書室]

いくつになっても、クリスマスが近づくと心が躍る。
特に今年は。

退社後、銀座へと足を向けた。クリスマスプレゼントに注文していた品物が届いたと連絡があったから。
クリスマスプレゼントを親戚以外に贈るなんて、何年振りだろう。
決してさみしかったわけではないが、来週のことを考えると思わず笑みが浮かぶ。

「絵梨ちゃん、喜んでくれるかしら?」

高校生の女の子に贈るプレゼント、会社の女の子に聞いたら余計に混乱してしまった。
結局自分の好みで選んでしまったが、ちょっと渋すぎたかもしれない。

不景気だなんだといわれているが、少なくとも街角のイルミネーションは明るく輝いている。

*****

一人でいることがさびしかったわけではない。仕事は順調だし、やりがいもある。信頼できる友人もいるし、甥っ子や姪っ子はとてもかわいい。
人が言うより、一人の生活はずっと楽しい。何しろ時間を100%、自分のためだけに使えるのだから。

でも、今年のクリスマスは格別だ。来年の春には家族ができる。

毎年思う、プレゼントは人にあげるためのものではないと。
甥っ子や姪っ子、そして新しくできる娘のことを思い、プレゼントを考える。それだけで自分がとても幸せだと感じる。

そう、プレゼントは自分が幸せだと気付かせるための神様からの贈り物なのだ。
「プレゼントを上げる相手がいる」ことは、それだけで、気が遠くなるような確率の上に存在する奇跡なのだ。

*****

北風に思わずコートの襟を合わせた。
「うー、寒い…」

こんな独り言を言うなんて、すっかり「おばさん(笑)」だ。
今年のクリスマスは、二人で過ごす最後のクリスマスになる。
だからクリスマスディナーへの招待は丁重にお断りした、はずだった。

しかし、結局は絵梨ちゃんに押し切られる形となった。

「毎日顔を合わせてるのに、クリスマスまでお父さんと二人で食事なんて、ぞっとしちゃうわ。それに、「二人で過ごす最後のクリスマス」じゃなくて、「三人で過ごす最初のクリスマス」でしょ。」

プレゼント期待してるね、と最後に付け加えたのは照れ隠しもあったのだろう。
そこまで言われて断るのは女がすたる。というわけでもないが、いま、こうして待ち合わせ場所に立っている。

プレゼントはご期待に添えるかどうかはわからないが、ここに来る前にレストランに預けてきた。
二人分のプレゼントをかかえて、待ち合わせ場所に立っているなんて格好悪い。

もうすぐ待ち合わせの時間だ、ショウウィンドウでざっと点検。

*****

「お待たせ!」

絵梨ちゃんがはずむような足取りで近付いてきた。
体中から元気があふれているようだ。

「お父さんは?」

「さっき電話があったわ。先に行っててくれって。仕事でちょっと遅れるって言ってたけど…。」

「えー、仕事じゃないと思うな。きっとプレゼントを受け取ってからお店に来るのよ。」

そう言った彼女は、私が小さなハンドバッグしか持っていないのに気がついたようだ。
しまった、という顔になる。

「心配しなくても大丈夫よ、もう預けてあるから。じゃあ、行きましょう。」

「えー、心配なんかしてないよ。さすがだなと思って。お父さんが紙袋抱えてきたら、『スマートじゃない』って教えてあげなきゃ。」

*****

街角に流れるBGMが変わった。この曲は…

そう、「I saw mama kissing Santa Claus」だ。

プレゼントの紙袋を手に、レストランへ急ぐ。
絵梨はもう彼女と落ち合っただろうか。

今年のプレゼントは二つ。プレゼント選びも二倍の時間がかかった。

プレゼントは選ぶ時間も楽しいが、渡した後の時間もそれ以上に楽しい。
そして、その時間を一緒に過ごせる人がいることに感謝しよう。

誰に?誰だっていい。こんな奇跡のような幸せな時間をくれた「誰か」に。


----------------------------------------------

こんにちは、THです。久しぶりの通常営業となります。

クリスマスイブです、みなさんは誰と過ごしていますか?

友人、家族、恋人、そして一人の人にもメリークリスマス!

オダジマさんは、耳の痛いことをお書きになっていますが、私は主義として「踊らにゃ損」と思ってます。ええ、踊り狂ってましたよ、若いころは…。

でも、実際のところ(即物的な意味も込みで)プレゼントは素敵な行為だと思います。相手の喜ぶ顔を思い浮かべながら選ぶ時間が好きです。とても幸せな気分にしてくれます。
それがたとえ、自分に対してのプレゼントだったとしても。


では、2009年が皆さんにとって良い年であったことを祝して。

Merry Christmas !!!
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【寄贈本】親殺し -ヌコ文庫- [図書室]

「よし! ついに完成したぞ!」
男は科学者だった。
時間についての研究をしていたが、5年前ある論文がきっかけで、学会を追放された。
その論文というのは、例の「親殺しのパラドクス」に関するものであった。

「親殺しのパラドクス」というのは、仮にあなたがタイムマシンを発明してあなたが生まれる前に戻り、自分の親を殺したと仮定する。すると、親が死んでしまえば、あなたは生まれないわけだから、あなたが生まれなければ、タイムマシンを発明することもないし、自分の親を殺すこともないわけである。
するとあなたの親は死なないから、あなたが生まれる。だが、あなたが生まれると、タイムマシンで過去に戻り、親を殺す。親が死ねばあなたは生まれない・・・。
という訳で、無限ループに陥ってしまう。
これを「親殺しのパラドクス」という。

男の論文は、このパラドクスについては、こういう結果をまねくので、過去に戻って親を殺しても、殺すことはできないというものだった。
だが、当然のように、日本の学会ではこんな論文は受け入れられるはずもなく、学会を追放されてしまった。
そこで男は、自分の論文を証明するために、タイムマシンをつくった。
それが今、完成したのだ。

「フフフ。これで、頭の堅い学者どもの、鼻をあかしてやるぞ・・・」
そう言って男は、ナイフを持って、タイムマシンに乗り込んだ。
「ええっと...今は、2009年だから、俺の年齢34を引いて、1975・・・」
男は、カウンターをセットした。
「これで、俺が生まれる前に戻れるはずだ」
男はスイッチを押した。
「ウイーーーーン」
タイムマシンが作動した。
空間がグニャリと歪んだ気がした。その瞬間、意識がなくなった。
気がつくと、薄暗い部屋に居た。
どうやら日が暮れかけているらしい。階下からTVらしい音が聞こえる。
男は部屋を見回す。間違いない。まだかなり新しいが、造りは男の居た部屋と同じだ。
念のため、壁のカレンダーを確認する。1975年11月だ。
「よし! 間違いない!」
男は忍び足で階段を下り、TVの音がする部屋に向かった。
居間に男が一人座っている。炬燵に入り男の方に背を向けて、テレビを見ている。
ブラウン管の小さな画面が時代を感じさせる。
「あれが親父だな。よし、失敗しないように一気に行かないとな。大丈夫だ。俺の理論は正しい。親父は死なないはずだ・・・」
男はナイフを構えて居間に駆け込み、振り返る間も与えず背中にナイフを突き立てた。
「うっ・・・」
TVを見ていた男は、声を立てる暇もなくテーブルに突っ伏して事切れた。
ナイフの刺さった背中から、ゆっくりと血が流れ落ちていく。
「そんな・・・そんなバカな! 死ぬはずはないんだ! 俺の理論は絶対に間違っていないはずなんだ!」


「それで? 君は未来から来たというわけかい。」
刑事課の取調室で、渋い顔をした刑事がいった。
「そうだ。でも、でも、俺の理論は間違っていないはずなんだ!」
「ふむ。私はね、大学も出ていないしがない刑事なんでね、君のいう難しい理論はよくわからんのだがね、事実ははっきりしている」
「今は1975年の11月だろう!?」
「そうだ、今日は1975年11月24日だ。それは間違いない。そして、君は居間でTVを見ていた男性、榎本純一郎さんをナイフで刺して殺害した」
刑事は、確認するようにゆっくりと言う。
「その通りだ。何も間違っていないはずだ。俺は榎本雅人、死んだのは俺の親父だ。そして、俺が生まれる前に親父を殺せば、俺は生まれないはずだ! どうして、俺がこうしてここに居るのに、親父は死んだんだ!」
刑事はゆっくりとタバコに火をつけて、大きなため息とと共に白い煙を長々と吐き出した。
「ちなみに、君の誕生日はいつかな?」
「1975年12月8日だ」
「なるほど。私の貧弱な脳味噌ではよく理解できないんだが、確かに君はまだ生まれていない。が、君という生命がこの世に誕生したのは、十ヶ月ほど前じゃないのかな。つまり、君のお母さんが妊娠した日だ」
男は、刑事の言葉にしばらく呆然となっていたが、やがて目を輝かせて嬉しそうに叫んだ。
「そうか! やっぱり俺の理論は間違っていなかったんだ! ははは! やっぱり俺は正しかった! 殺す時期を間違えただけだったんだ!」


おわり
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この物語はフィクションです。
実在する人物、団体等には一切関係ありません。


えー、これまた久しぶりにSFショートショートでーす。
ネタ切れでどうしょうかと思うてたところへリレー企画が始まり、通常連載はしばらくお休みやったんで、なんとかつないでるって感じやけど、ネタが切れて、毎週締め切りに追われるスリルは、どっかの売れっ子作家みたいやなぁ。
\(^_^)/

喜んでる場合やないんやけど・・・。
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【リレー企画】コメントブレイクその2 [図書室]

 第二話を書いたのがけんづるちんだったという読者の皆さんの驚きの反応に我々執筆陣が気をよくしながら迎えた第二週の月曜日の朝、いつもどおりに「小窓」をしれーっと通常営業したのも予定どおり。前週の猫目師匠の回にも、けんづるちんの回のどちらにも一読者になりすまして白々しくコメントを付けてきたこの私が第三話を担当していようとは誰一人として気づいちゃいないだろうと、通勤電車の中でニヤニヤしながら携帯からアクセスしてみた。なんつったってこの私、今回のリレー企画における位置づけは「起・承・転・結」の「転」、すなわち「飛び道具」なんですから。

 自分で書いた連載本文の内容なんてのは、今さら一から読まなくったって、一字一句たりとも洩らさずに、端から端までずぅーーーーっと全部お見通し。どうだ参ったか的にビックリ仰天の内容だってことは先刻承知なんだからして、気になってるのは読者の皆さんの反応のみ。「どや!」ってな調子でコメント欄を開いてみた。

 すると、意外なことに、いきなり正体を見破っている人がいるではないか!


★ダルぴぃ。
「誰が書いているでしょうクイズ」第三話編に、みごと正解されました。おめでとうございます。パチパチパチパチ(←拍手)。

 …………。

 ちっくしょう…、なんで私が書いたとわかったんだ?

 私の文章の癖とかをよく知っていてくれているということで、これは喜んでいいことなのだろうな、きっと。普段も私が書いたコメントなどをよく見てくれているということだ。ありがたいことではないか。嬉しいよ。

 しかし、正体不明の、誰が書いたか判らん文章でビックリさせたうえ、笑いももらっちゃおうという当初の目論みは一体どこへ?

 まあ、気を取りなおして次いこ、次。


★しえすた。
「あー!ちさとんしゃん書いてはるやんけ(笑)」うむ。よい反応だ。素直でよろしい。そういうふうに驚きを驚きとして表現するその姿勢には好感がもてる。そのままスクスクと素直に大きく育ってほしいものだ。ただ、育ってよいのは腹ではないということを強く主張しておく。


★A.U.さん。
 意表をついて焼きイモとリンゴで勝負したのは、果たして正解だったのか?という疑念はこのコメントで解消されたも同然。「なんでイモ?」、「なんでリンゴ?」、「ウ、ウサギさん?」って、困惑してくれたのが素直に嬉しい。ただ、ここでも正体がバレとる。なんでだ?


★たささん。
 ありがとう。ありがとう。コメント見るまで私が書いたことに気づかずにいてくれてありがとう。ギャグも、予測不能な展開も、ってことは、目論みどおり!

 え? 引っ張りすぎ? たしかに、リンゴを切ってるだけのシーンは引っ張りました。あそこの、しつっこくネチネチと細かくこだわって書いた部分を読み飛ばさずに読んでもらいましたよね? 何だかよくわからないまま引きずられるように目で文字を追って。実はね、それが狙いだったんですよ。


★わからんさん。
 ジーパン殉職! そうです! そこなんです。
「なんじゃあ、こりゃあ!」って思ってもらいたくて書いたんです。
 うははー。うれしー。


★おやさん。
 そうなんです。予想外の展開ってのを楽しんでもらおうってのが今回の目論見。リンゴのウサギでもウサギなリンゴでも、順番なんてのはこの際どうでもよくって、ただ、ビックリさせたかっただけ。


★「名前を呼んではいけない例のあの人」から私信をいただきました。
  ↓
「やられたわぃ! 誰や?こんなにうまく片桐キャラにちさとキャラを色づけしてるのはって感心してたら本人やんけぇ!! だはははは。」

 やっぱりバレてたか……。


まあ、予想もつかない意外な展開にビックリしてもらったってことが、ただ単純に嬉しいです。
それに、自分が、予想もつかない意外な展開を思いつけたってことに感謝したいです。

やたーーーーっ!!!!


【追伸】

★けんづるちん。
 コメントブレイクで、私が執筆陣に入っていないかのように偽装したコメントにレスしてくれてありがとう。ひとつだけ付け加えさせてもらっていいかな?

私はね、「オモテになる」んじゃなくって、「うらめん」のひとりなんですよ(笑)。

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by ちさと


「ああ、終わっちゃった…」というのが正直なところ。
それほど楽しい時間でした。計画してから執筆、あとがき、コメントブレイク。あっという間でした。
最後はちょっと引っ張りすぎ?いやいや、たまにはいいでしょう。祭りの後は寂しさが付き物です。

ということで、

☆Kogeさん
スタンディングオベーションありがとうございます。順番も変えて、執筆陣も変えて(加えて)またやりますよ。

☆AUさん
ええ、焼き芋とウサギさんこんなんなっちゃいました。言いだしっぺ(企画者)だから、責任取らないとねぇ…。次回はだれかに丸投げしちゃいたいなぁ(笑)
「文才も~ありませんから」って、またまたぁ。声かけちゃおうかなぁ…えへへ。それは次回までのお楽しみってことで。

☆QTさん
そういえば昔「名探偵カタギリ」っていう漫画がありましたね。「こんな終わり方じゃ…」私も同じです。続編希望!

☆ダルちゃん
種明かしなあとがき、いかがでしたか?またやるから期待しててね。

☆Old Yさん
自分の発想には無い展開。私も楽しませていただきました。某校長先生も喜んでいただけたでしょうか?校長先生のなんとかっていう本も楽しみですね。ちょっと遅れてるようですが…

☆わからんさん
厳しいご意見ありがとうございます。ええ、その辺の謎を続編でやってみたいですね。うん、やらねばなるまい、やれるといいなあ、きっとやるでしょう。

☆まおたん
本当に楽しかったし、またやりますよ。THE ENDというより、「To Be Continued」ってところでしょうか?

☆たささん
伏線うまく拾えてましたかね?上に書いたように、また、他の人のコメにもある通り、まだまだ続く感じで終わってしまった(終わらせてしまった)ので、ぜひ続けたいですね。
猫師匠からも言われてるし(笑)。


ということで、みなさんコメント本当にありがとうございました。
初めての「リレー企画」楽しんでいただけたようで、ほっとしています。

改めて、私の思いつきに付き合っていただいた猫師匠、けんづるさん、ちさとさん。そして、このような場所(ちくわ部部室)を提供して頂いたけぇちゃんに
また、我々の文章を読んでいただいたすべての方々に心からのありがとうをいわせていただきます。

いつになるかはわかりませんが(内緒ですが)、またリレー企画をやりたいと思っています。
その時はきっと新たな人を巻き込んで。いろいろな形で声をかけます。返事は「イエス」か「はい、よろこんで」以外は受け付けませんので、よろしくお願いします。

みなさん一緒に楽しみましょう!

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by TH
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【リレー企画 テンカウント・リミット コメントブレイク 第一話~第二話編】 [図書室]

【リレー企画コメントブレイク第一話編】

皆さん本編とあとがき、楽しんで頂けたでしょうか?

本編、あとがきに続いて、今週はコメントブレイクです。
企画当初から、コメントブレイクは改めてという話になっていたので、本編でのメンバーからのコメントは個別ではやってませんでした。
これも初の試みですが。

コメントって、書いてる方はそうでもないかもやけど、書いてもらった方はすごい励みになります。
今回特に、どんなコメントが来るかなぁってワクワク・ドキドキしながら待ってたしね。(^_^)
みんな驚いてくれるかなぁ、楽しめてるかなぁ、笑ってくれるかなぁ、色んな事を思いながらコメントを楽しみにしてました。

ということで、改めまして、皆さん沢山のコメントありがとうございました。m(__)m

以下、一言ずつやけどコメントしてくれた人達に。


たさち
全部読めたかな?(^^;;)
トップの米、ありがとうございました。


あう
いつもあんがとー。
THんは〆でした。(^_^)
今度は参加してみるぅ?(笑)


Qちゃん
こちらもいつもありがとー。
あとがきの方にも米もらって嬉しいです。(^_^)
ドキドキしてくれて嬉しいでーす。
やっぱり主人公はうさんくさくないとね。(笑)
でもまさか、何でも屋があんなことになるとは・・・書いた本人も予想外。\(^_^)/
いやぁ、オモロすぎてやめられ真辺。


ぼなしー
これが全く打ち合わせナシってことで、驚いてもらえたかな。(^_^)
なかなか、10秒で決断できる人は少ないんでは?
とはいえ、仕事は日々選択と決断の連続?


おるでぃ
予想・・・裏切れたかな?(^_^)
とはいえ、猫が裏切ったわけではないけど。(^^;;)


わからんたん
はは、三秒ルールね。
焦って食ってもいっしょやとは思うけど・・・。
五秒ルールとか八秒ルールとか、色々あるよね、最近。(^_^)


だるぴ
後書き米一番乗り-。(笑)
そうなんよ、ほんまに打ち合わせナシなのよ。
ってことで、じゃ次はだるぴも参加っと。φ(._.)


しえすた
インターネットならではよね。
猫は、THんにもちさとんにも会ったことないんやもんね。(笑)
それなのに、こんなことができちゃう。
ちゅうことで、次はしえすたも参加?(^_^)

> っつうか、校長先生どうしたんだろ?(ぇ

そこかい!

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by 猫目


【リレー企画コメントブレイク第二話編】

みなさんからせっかくコメントいただいたのに、気の利いた御礼が出来なくて申し訳。
賛否両論悲喜こもごも?な反応おおきにで麩。

づるの回は、話の内容そのものよりも、「づるが書いた」ことに驚いて頂いたようで。
大成功ってことにしておいていいですね?

まぁ、内容に関しては、一番楽と本人が言い切る「承」の部分なので、それほどの驚きもなかったで麩寝。はは。。。

ってことで、
朝一番のZんの叫びから始まった時にはほくそ笑んでしまいました。
ごめんね。性悪で(爆)

たさーんの米にあるように、作者が変わったと判らないのはある意味当然で麩。
初めての創作。手っ取り早く模倣から入っちゃってますから。(爆その2)
づるがオリジナリティを発揮できるようになるためにはまだまだ修行が必要ってことで麩寝。(爆その3)


で、ダルぴの驚きっぷりは性悪づるの虚栄心をMAXに引き上げてくれ魔知多。
でも、冷静に考えたら、いつも小窓書いてる割に文章能力無いって思われてるんだよってダークサイドの声が。。。(爆その4)


その後も、おいちゃんの能ある豚はへそ隠すと言ってくれたり、あうたんはTHんみたいって言ってくれたりで麩が、
脳ないづるでも楽しんで参加できたので、みなさんも執筆参加してみましょう!
そして、お手本になる兄さま、THん、ちさとんしゃんの技を真似てやってみましょう。
そうすると、づるみたいにTHんみたい。って言ってくれる人がいますから!!

そして、ちさとんしゃんは、執筆陣でありながら、いつもどおりを装いつつ、伏線米を投げ続けてくれて。
仕掛け上手で麩寝!!
オモテになる理由がよくわかりま麩とも。麩麩麩。


まおたんも、THんと思ってくれた→づるだった→では、第三話こそTHん?それとも別の誰か?
な新しい楽しみ方を提供できたのもうれしいことで麩。
週2更新って言っても小窓ではいつも大したコト書いてないし、すごいと言われると戸惑いつつ舞い上がってしまい魔麩(爆その5)


QTろちんもわからんたんも、続きを楽しみにしてくれて、すごくうれしかったで麩。
もうね。QTろちんの「おもしろい!!!」をみて、ホントにやって良かった~。って小躍りするくらい嬉しかった出麩!!本当に小躍りしてた旗がし魔麩。(爆その6)
そして、わからんたんの「どうなってしまうのか」から第三話への展開を想像して、ニヨニヨしちゃい魔知多。やっぱり性悪(爆その7)


んで、こっからはあとがき編。

ダルぴぃ。
一番乗りありなとなつ。
反応が無いのにへこみかけてたのは秘密で麩。麩麩麩。
そう。バトン丸投げだったんで麩。いかにもって感じで性格でてるでそ?
THんのまとめがなかったらどうなってたことやら。。。(爆その8)
で、本格的なお話にまとめるのは猫兄さまやちさとんしゃん、THんがやってくれるので気楽に参加できるよん。
もちろん、ダルぴぃがなんか仕掛けてもおもろいと思い魔麩よん。
でも、実はは共同執筆って、九州オフレポとか黒犬兄さんが仕掛けたのが魁なんで麩世ね。
元気かなぁ。兄さん。。。



しえすたん。
うんうん。
インターネットが心の距離を縮める。
そんな使い方が出来るって素敵で麩世ね!!
そして、つながって何かが出来るって、おもろい!!
ってことで、第二部の執筆どう?


QTろちん。
おどろいてもらえ魔知多か?
まったくの打ち合わせなし。アドリブ。
だから、書いてる本人たちもすごく楽しめたというおまけ付で麩!
多分、打ち合わせてたらこんなに勢いのあるリレーに出来なかったんだろなと思い魔麩。
この勢いは、ワールドワイドに展開したいで麩寝!
ってことで、海外の皆様も、今住んでる町を舞台にエピソード寄せてハリウッドに負けない作品を作り魔変か?
きっとTHんがうまくまとめてくれる。
そう思うだけで安心してかけ魔麩よ!!また〇投げ(爆その9)


あうたん。
づるはすごく無いで麩よん。
あの世界に引き込もうと画策(違 したTHんと、引き込んだ第一話をさらっと書いた兄さま、そしてタメゴローな第三話でバトンを受け取ってくれたちさとんしゃんがすごいので麩。
だから、あうたんも「なんじゃわれぇ!!」ってな勢いで書けると思い魔麩よ。
次を楽しみに待つよりも。
楽しみを手繰り寄せるほうがあうたんらしいで麩!!


たさーん。
原稿の横流し。ははは。いい表現で麩。
たさーんも妄想力発揮して第二回執筆しましょうね♪
そで麩か~。byぢゅるって見ても気づかなかったで麩か~。
そんな反応が楽しみでニヨニヨしながらコメント舞ってたのは秘密で麩。


ってことで、書けば書くほど(爆)が増えてしまい魔麩が。
皆さんの反応も作品の一つなんだと、改めて感じま知多!
即興的に始まったこの企画。
準備期間が短かったので、練る時間もなかなか出来なかったけれど、すごく実りのあるものだったと自画自賛しておきましょう。
いつか、またみなさんと楽しみながら作り上げていければいいなと思い魔麩。
ホントにみんな、ありがとで麩!!!

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by けんづる
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【リレー企画】テンカウントリミットあとがき [図書室]

こんばんは、THです。

今回はあとがき3&4(ちさとんとTHの分)をお届けします。
ここまで書いても、語りつくせない感はありますが…

ということで、こちらにもコメントをお待ちしています!
コメントブレイクは改めてお届けしますね。

ではでは。


●リレー企画あとがき その3

 mixiにメッセージが届いた。THさんからだ。

「リレー企画に参加しませんか? 積極的に断る理由がなければ、ぜひ。」

 積極的に断る理由がなければ?…これって、ひょっとして脅迫?…と思ったかどうかは、今としては思い出せなくなってしまっているのだが、探しても、探しても、積極的に断る理由がどうしても見つからなかったので、こんなふうに返信した。

「はい! よろこんで! よろしくお願いします!」

 しばらく(というのは「何日か」という意味)たって、THさんからメールが届いた。

「リレー企画のメンバーは、猫目師匠、けんづるちん、ちさとさん、私(THさん)の四人。この順番で書きましょう。打ち合わせは特にしません。それぞれ好きなように書いてください。どんなモノができ上がるか、楽しみです。」とのこと。

つまり、こんな配置。

 起: 猫目師匠
 承: けんづるちん
 転: ちさと
 結: THさん

猫目師匠の第1話を、けんづるちんが第2話で受けてつなぎ、この私が第3話で(台無しにならない程度に)ひっくり返して、THさんが最後をまとめる。
 ↑
こういう流れだな、と。

 さっそく、猫目師匠の第1話がきた。お、こいつ、カッコいいじゃん、私(の名前)に似てて。ふむふむ、プチ予知能力ね。で、依頼人の自宅に何者かが先回りして侵入し、危機を回避したかと思ったら実はピンチ、と。アクションものなのね。どういうふうに展開するのかな~なんて思ってたら、翌日すぐにけんづるちんの第2話がきた。早えーよ。

 なにーっ? 依頼人の家にいた3人(男2+女1)は、家族(夫婦+息子)だったのかよ!

 しかも、この妻ってのが、主人公の片桐みたいに(ってゆーか、ちょっと上?)プチ超能力を持ってるっぽい。しかも、なんだか謎ありげ。で、「片桐さん……。」のセリフで終わり? そこから続けるの? うーーーーーん……。って、3秒くらい悩んだ。

 緊迫した場面だ。ここは、ひとつのヤマ場だ。ここで、この妻が何を喋るか、読者の皆さんは、固唾をのんで注目しているにちがいない。盛り上がっているところなんだから、絶対に外したり、スベッたりしてはならない。ここは、なんとしてでも笑いをとらねば!

 で、かましたのが、あれ。

 ジェットコースターのように、静かに静かにカタカタカタカタ…と、ゆっくり上昇させておいて、最高地点から一気に下降!……レールに沿って一直線に駆け下りると見せかけて、脱線、横転、ロケンロール♪……だって、起承転結の「転」だもの。

 その一瞬の落差とスピード感に賭けてみました。あとは、ゴールまでそのまま駆け抜けてしまおう、読者を混乱させたまま強引に掴んだその手を放さずに引きずりまわして何が何だか解らないまま最後まで読みきらせてしまおう、たとえ、ストーリーが全然進んでいなくたって構わない、読み進めていくドライブ感を楽しんでもらえるならば、ね。

 そこらへんのところをオトナっぽく喩えていうなら、いきなりキス。えっ?って、びっくりしてる間に×を××て、××の××を××××××して、やだ、うそ、なに、どーして?って戸惑っているうちに何だか××××にされちゃって、気づいたら全裸でベッドに寝かされてた。みたいな。しかも、「さあ、これから」ってときに、不意に相方がいなくなって「あれっ?」って不安になる感じ。

 ねらいはそれです(笑)。

 そこに満を持してTHさんがベルトを解きながら入ってくる。そして興奮の結末へ。

 さっきあげてた「起・承・転・結」を言い換えると、こんな感じでしょうか?
(ナンパ口説き編)

 声かける: 猫目師匠
 連れ込む: けんづるちん
 脱がせる: ちさと
 ××××: THさん

 お楽しみいただけましたでしょうか?


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by ちさと



●リレー企画あとがき その4

ネタ切れが近いのは、こちらも一緒。
師匠の「リレーでもやりまっか?」にダボハゼのように食いついたのが、すべての始まり。

「ここらの詳しい話」を師匠からも託されているので、少し紹介しますね。

メールを通じて師匠と企画を練る :11/5~9
づるたんとちさとんを一本釣り :11/9
企画説明&詳細決定 :11/9~12

とこんなところでしょうか?(って、どこが詳しい!)

師匠とは、「他の人も入れましょう!」という話をしていましたが、その人選(づるたん&ちさとん)に関しては、もう、私の独断と偏見に基づき一本釣りさせていただきました。
連載とこれまでの※を見ていて「ぜひこの人たちにストーリーを書かせてみたい。」という一方的な希望によるものでした。
快く?引き受けていただいた両名には、本当にありがとうございます。
また、読者の方も「誰が書いてるの?」、「あ!この人が書いてるのか!」という驚きを持っていただけたのではないかと思っています。
コメントを見ると、この件に関してはうまくいったと思います。

ただし、この時点で内容に関しては、一切触れていません(師匠も書いているように)。お願いしたのは「プロットも構成もうっちゃって、好きに書いてください!」ということだけした。
メールの中身も順番や掲載日に関するものだけです。
そういう意味で、自分の番が来るまでは完全に「読者」でした。


そうこうする間に、師匠からの第一話(11/13)。

「そうですね、これを見た瞬間に私は成功を確信しました。」

なんて言うとプロジェクト○風ですが、実際は不安でいっぱい。
いえ、第一話が悪かったというわけではなく、逆に良すぎて。しかも伏線テンコ盛り。「本当にこれ1周(4話)で終わらせられるんかいな?」というのが正直なところでした。

続いて、づるたんの第二話(11/15)。
「おー、家族になっちゃったよ!」、「すげー、格好良い終わり方!」というのも、みなさんの感想と一緒。しかし、伏線は回収されず新たな謎の提示!
…うーん、あれをこうして、これをああして…。いや、勝手な思い込みはすまい!ちさとん頼むよ!と、下駄を預け待つことしばし。

そして、衝撃の第三話(11/17)!
読者としては「何だこりゃ!」、企画者としては「おおー、俺の人選ってすげー!」。しかし執筆者としては「………。」
テキストファイルをひらいたときの衝撃は、今でも忘れません。(後から本人も「ムチャぶり」と白状してました)
「絶対に外したり、スベったりしてはならない(あとがき by ちさとん)」の後は「笑いを取らねば」って、そこかい!

おそらく、私を含めた全員が「もう一周」の覚悟を決めた瞬間でしょう(笑)。
それまで考えていたまとめ方が、吹っ飛んでしまいました(爆)

前三話を受け、さてどうしようかと考えることしばし…
まずは伏線の整理と、対応案を考えました。一部紹介しますね。

・まだ事件が何か語られていない(社員の失踪のみ) ⇒ 作っちゃえ、というか呼ばれたことそのものを事件にしちゃえ。探偵役を犯人にしたらどうなる?(ミステリなら禁じ手?)
・奥さんの能力は?玄関で発動したのに、給湯機で発動しないのはなぜ? ⇒ 「テンカウント…」が発動しないから安全ってみんな書いてるな…。逆手にとって、奥さんの能力使っちゃえ
・焼き芋とリンゴをどうするか? ⇒ あ、取りに行ったのは息子だな…奥さんが立たない理由をつければ…

ご想像の通り、「焼き芋とリンゴ」が一番苦しかったですね(笑)。ちょっと無理やりだったでしょうか?

第四話を何とかまとめ、全員に連絡(11/18)。おほめの言葉を頂戴しました。
まあ、「完結」というよりは「中締め」といった感じの終わり方ですが楽しんでいただけましたか?


何度も言いますが、「内容に関して、一切の打ち合わせをせず」書きあがったものです。(しかもたった一週間で!)
自分一人では、絶対書けなかったと断言できます。みなさんよりも、執筆陣が楽しんだような企画でした。
この間のメールも公開したいところですが、それは我々だけのお楽しみってことで。

さて、最後に連絡です。
この中にも書きましたが、リレー企画は今後も続けたいと考えています。
「俺も楽しんでみたい」、「書きたいけど、連載枠はハードルが高い」、「とりあえずかき回してみたい」などなど、【リレー企画第二回】に参加してみたい方は、どんどん手を上げてください。

次回はぜひ一緒に楽しんでみましょう。

では!

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by TH
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【リレー企画】「テンカウント・リミット」 あとがき [図書室]

はい、皆さんリレー企画は楽しんでもらえたでしょうか。
ということで、今週はあとがきでーす。

今日は、猫の分とづるの分をアップします。
コメントブレイクはまた後で。(^_^)

こっちにも沢山のコメントお待ちしていまーす。(^_^)/


●リレー企画あとがき その1

そろそろネタ切れしてきたんで、米欄でリレーでもやりまっかと書いたら、すぐTHんからメールが来た。
それからは、あれあれよと言う間に、メンバーを決めて、順番を決めて・・・。
ここらの詳しいことはまた、THんが書いてくれるかな。

THんが言い出しっぺでアンカーをやってくれるってことで、じゃぁ、猫が頭をってことになった。(^_^)
ストーリーは特に考えてたわけでもないんやけど、なんかちょっとした能力持った主人公ものを書きたいなと思って、プチ予知能力というのが頭に浮かんだ。
これで主人公が探偵とか特殊工作員とかやと話ができすぎなんで、一応何でも屋ということにする。
(これは、後でとんでもない何でも屋になるんやけどね(^^;;))

第一話で一応能力を見せとかんとアカンのと、伏線というか、謎をいくつか仕込んでおかんと、後の楽しみがなくなるんで、事故のシーンとか、依頼人の家の謎とか書いてみた。
2回目のテンカウント・リミットが働いて、助かったと思ったところへあっさり後を取られて、さぁどうするってとこで次回へつないでみた。
ピンチで次回に続くってのは続きもんの常套手段やからね。
今回猫は、どうやってピンチを乗り切るかを考えんでエエわけで、書きたい放題。\(^_^)/
とりあえず思いつくままに二日ほどで、主人公、設定、事件、謎なんかを適当に散りばめて、次に送る。

第一話で猫が想定してたのは、女が二人の男に捕まってるって設定やったんやけどね、実は。
でも、全く打ち合わせはやってないので、づるがあっさりと猫の想定を裏切って(笑)、3人は家族になったのね。
いや、ここらがリレーの醍醐味やね。(^_^)

ここで断っておきますが、今回スーダンで、4人は全く打ち合わせはやって魔変。
猫が、ほんとに思いつくままタイトルも含めて勝手に決めて書いたのを次々とリレーして、何の打ち合わせもなしに最後まで進んだ結果がこれです。

づるも初めて書いたにしてはうますぎで、謎を深めつつおっとっとと思わせる展開で次へつないだよねぇ。思わず「そうくるか」と思ったもんね。

THんの人選は間違ってなかったというか、づるがうまく展開して、みんなの期待を裏切ることなく(予想を遙かに上回ったけど)、ちさとん爆弾が炸裂!\(^_^)/
いやぁ、主人公といっしょに、みんなで「へ? イモ?」ってなって大笑い。
最高のエンターテイナーやねぇ、ちさとんは。

しかし、これはもうどうやってもあと一回で全部の伏線を解いて(別に打ち合わせがあって伏線張ってるわけではないのでみんな書きたい放題やし(笑))、話を完結させるんは絶対無理! って思ってたんやけど、なんと、やってくれました、天才THん! アクロバティックに全ての伏線を解き明かし、見事に完結!
いやぁ、凄いねTHんは。
やっぱりデキルヤツは違うね。どんな問題もまとめて解決ハリマオー!(古!)

一人では絶対に書けないあっと驚く展開、それをまたものの見事にまとめるアンカーと、役者が揃いすぎな感はあるが、ほんとに楽しかった。
第一話を書いた猫が想像もできない展開と結末・・・もう、読みながらほんとに楽しくて、投げた後は完全に一読者になって次を楽しみに待ってました。\(^_^)/
想像以上に4人の相乗効果がうまく働いて、初回で、ほとんど打ち合わせもなしに書いたとは思えんほど大成功やと思うてます。

そんなわけで、この企画を立ち上げてくれたTHんに感謝すると共に、素敵な物語に仕上げてくれたづるとちさとんにも、改めてありがとうを言わせてもらいます。
ほんとに楽しかった。
みんなありがとー!

さて、第二部は誰が書くのかなぁ?(ぇ

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by 猫目


●リレー企画あとがき その2

久しくログインしてないmixi。
何の気なしに、覗いてみるかと思い、ログインしたら、メッセージが一通。。。
「誰?」と思って開いたのが運のツキ。いや、運命の始まりでした。。。

「リレー企画乗ってみない?文才のある人ではじめるのがいいと思うんだ。」
確か、そんな文面でした。
THん。
なぜけんづるを選んだのでそ?
未だに疑問は解けま変が、面白そうなことを断る理由がない。。。

早速、「返事が遅くなって申し訳。」とメールを送ったら、翌日ご挨拶とともにメンバー発表が!!
びっくりしましたとも。ちさとんしゃん。

冷静に考えると、一番危ないのは自分でした。
だって、づるのは日記。
兄さまもTHんもストーリーテラー。
ちさとんしゃんは、今は経理物語休んでるけど、コメント欄でのストーリーのつむぎ方には相変わらずの冴えがある。。。

心の中で、後悔が渦巻きました。

しかし、さすが兄さま。有無を言わさず第一話をアップ!!ひえぇ~!!早杉!

でも、読んでくうちに、自分の頭のなかに続きがイメージできるんですよね。
不思議なことに。

で、イメージを忘れないうちに勢いで書いたのが、この作品。
づるは比較的楽な場所に居たので(ぇ
兄さまからの流れを受け継いでそのままちさとんしゃんに投げちゃいましたが、
初めての創作。楽しかったで麩!!

やっぱり、一人で書くのと違って、みんなの原稿が届くのも楽しみで、その後のああでもないこうでもないというやり取りも楽しく。
予定より大幅に繰り上げての実施となりました。

これは、独り占めするのもったいない。と思いま麩。久々にスーダン烏賊略で。
やってみたい方。ぜひTHんにご一報を!(また〇投げ)

それとも。
そのうち。
あなたのところにも招待メールが届くかも。
その日を楽しみに待ちましょうか?

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by けんづる
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【リレー企画】テンカウント・リミット第四話 [図書室]

リンゴをウサギに切ると、通常「ごろん」と横倒しになってしまう。
お弁当のウサギが背の部分を上にできるのは、周りにおかずがあるからだ。

片桐はウサギの頭に当たる部分を少し大きめに切り取り、お盆の上にきちんと立つように形を整える。
八つのウサギをお盆の上に放射状に並べ終わると、顔を上げた。

「で、これは何の謎かけですか?」

「そんなことよりお芋をお食べください。おなかがすいているはずでしょう?」

確かに腹は減っているが…
今のところ「テンカウント・リミット」も働く様子が無い。安心して頂くことにしよう。

「いかがですか?」

「ええ、おっしゃる通り大変おいしいお芋ですね。焼き方も最高だ。」

「でしょ?土鍋に石を並べて、火にかけるの。家庭用即席石焼きイモね。」

「だからこんなにホクホクなんですね。久しぶりです、石焼きイモは。」

「そう、よかったわ。リンゴもどうぞ、かわいいウサギさんね。」

口調は柔らかいが、目の奥は笑っていない。まだ、緊張しているのか?それとも…。黒田家の三人もそれぞれ焼き芋やリンゴを口にした。どうやら変な薬の心配も無さそうだ。
すすめられるままに焼き芋を二つ、リンゴを三つも食べてしまった。ようやくおなかが落ち着いたところで話を本題に戻す。

「では、ご用件をお伺いしましょう。そもそも奥さまはどうやって私の番号を知ったのですか?」

俺は確かになんでも屋を営んでいるが、電話帳に番号を載せていない。客はすべて口コミで紹介される。この商売は信用第一だから、「信用」を求める客だけが俺の相手だ。
もちろんこの場合「仕事を確実にやり遂げる」ことと「中身を絶対に口外しない」ことの両方の「信用」という意味だ。

だから、紹介者の名前も言わず「温水器の修理」などという符丁を使うことは考えられない。
「温水器の修理」は「危険度が高い、場合によっては生命レベルの危険が伴う」という意味だ。それはそうだろう、いくら何でも屋とはいえ、温水器の修理は普通ならメーカーやガス会社が行うものだ。

黒田一家についても、一通りのことは調査済みだ。「テンカウント・リミット」があるとはいえ、最低限の調査は自分の身を守るためには必要なことだからだ。

すると、奥さんに代わって黒田氏が口を開いた。
「用件も言わず試すような真似をして、済みませんでした。それもこれも、妻の力を片桐さんに信じてもらうためでした。」
「なぜあなたが身を隠した先に息子がいたと思われますか?すべて妻の指示です。」

…そうか、「テンカウント・リミット」が作動したにもかかわらず後ろを取られた。不思議に思っていたが、奥さんの指示によるもので、こちらを害する気が無いとすれば、それもうなずける。
しかし、何かおかしい。何かを見落としている。そんな奇妙な感覚がどうしても消えない。

「話を元に戻しましょう。私の会社はご存じの通り精密加工技術、及び制御パッケージを提供しています。」
「おかげさまで会社は、この不況の中でも順調に成長しています。」

確かに、黒田精密加工(株)はこの不況下でも高い株価を維持している。それもこれも、彼らが保有する技術レベルが高いことの証明だ。
しかし、それだけではない。

「どうやらご存じのようですね。そうです、我々の持つ技術は容易に軍事技術に転用が可能です。したがって、社内のセキュリティは軍事レベルに設定しています。」
「ところが、最近社内のシステムに外部からアクセスしようとしている形跡が見つかりました。簡単にいえばハッキングです。」

「姿を消した社員というのも、その関係ですか?」

「ええ、彼はセキュリティシステムを担当していました。私たちは、ハッキングと今回の失踪が関連していると疑いをもっています。」

「では、ご依頼というのはその関連を調査してほしいということでしょうか?」

「いえ、違います。」

「違う?」

「ずばり言います。片桐さんに手を引いてほしいのです。そのためには手段を選びません。もちろんお金で方がつくのであれば、必要な額をおっしゃって下さい。できる限りのことはさせていただきます。」

これは驚いた。こいつら、どこまで知っているのか?ここで対応を誤るわけにはいかない。
「テンカウント・リミット」が発動していないからとりあえず危険はないのだろうが、すぐ動きだせるように椅子に座りなおした。

「何をおっしゃっているか、よくわかりませんね。ただ、私のことを知っておられるのであれば、私が「信用第一」であることはお分かりいただけるかと思います。」
「したがって、黒田さん、あなたの申し出には何もお答えすることはできませんね。」

「仕事柄、私も日のあたる部分だけを知っているわけではありません。妻にあなたの電話番号を聞いてから、私なりに調査を済ませています。」
「あなたは、調査結果通りの方でした。最初から交渉の余地が無いだろうとは思っていましたが…。しかたありません、あきらめましょう。」

俺は、お茶を飲み干し、席を立った。
「黒田さん、ありがとうございました。有意義な時間を過ごさせていただきました。お力になれず、申し訳ありません。」
「奥様、また、機会があれば焼き芋をごちそうして下さい。では。」

背中にビリビリとした緊張を感じながら玄関に向かう。黒田家の三人が後ろに従っている。
かなり疲れた様子の奥さんを支えるようにして息子が玄関で引き返し、黒田氏のみが玄関の外に出てきた。

「残念です、片桐さん。」

「いえ、ありがとうございました。何かあれば、何時でもご用命ください。」

彼の差し出した手を握り返し、別れのあいさつを終えた。
振りかえると、すぐそこに止めておいたはずのアバルトが無くなっている。

その瞬間「テンカウント・リミット」が発動した。両脇の植え込みから飛び出してくる男たちに、取り押さえられるイメージ。

とっさに前に転がろうとするが、体が動かない。

黒服の男たちに羽交い絞めにされた俺に、黒田氏が話しかける。

「警告はしたはずです。妻の力も説明さし上げました。まあ、範囲は限られているようですがね。」
「片桐さんにこの仕事を依頼した男は、すでにこちら側で身柄を押さえさせていただきました。」

その瞬間、すべてを理解した。

黒のセルシオを追いかけていたのは、なぜ覆面パトカーだったのか。
事故を最も近くで目撃していた俺が、なぜ連絡先を聞いただけで解放されたのか。

そして、なぜ俺の「テンカウント・リミット」が発動しなかったのか。
信じがたいことだが、彼女の力に抑え込まれていたのだ。

玄関に迎えに出た黒田氏には、殺意とは言わないまでも「覚悟」があった。だから「テンカウント・リミット」が発動した。
しかし、右側によけた瞬間奥さんのフィールドに飛び込んでしまったのだ。息子の行動に発動しなかったのはそのせいだ。

おそらくあの時、奥さんは廊下の右側にある客間にいたのだろう。そして、範囲を確認した奥さんはその後私の目の前から動くことはなかった。
焼き芋やリンゴを取りに行ったのもすべて息子だった。
リンゴを切らせたのも手元に意識を集中させ、俺の思考を中断させるためのものだったのか…

「私の会社の技術は、防衛省や米軍にとって無くてはならない技術なのです。それが漏れるのを防ぐためには、彼らは最大限の協力をしてくれることになっています。」
「先程の焼き芋とリンゴもそうです。単独であれば全く影響のない薬ですが、二つを混ぜた瞬間に体の自由を奪う薬になるそうです。こちらは専門外なのでよくわかりませんが…」
「まあ、ある程度量が必要なので、果物ナイフでは小さすぎたようですが。」

そうか、だからわざわざ包丁で切らせたというわけか。二つ目の薬は包丁に塗ってあったということだ。

力の入らない足を、なんとか踏ん張ろうとする。
しかし、しびれは段々と上に登ってくる。もう、腰から下の感覚が無い。

「あなたの身柄がどうなるか、私は知りませんし、知りたくありません。先程のお願いは、お互いにとって最後の選択だったのです。では、今度こそ失礼します。」

能力を過信しすぎたか…、後悔の念が頭をよぎる。
この力がある限り、負けることはないと思い込んでいた。
自分より力の強い存在など、思いもよらなかった。

薄れゆく意識の中、最後のテンカウントが聞こえた気がした。


【リレー企画】「テンカウント・リミット」・了

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by TH
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【リレー企画】「テンカウント・リミット」 第三話 [図書室]

「片桐さん……」

それまで黙って向かい側の席に腰掛けていた黒田の妻が口を開いた。彼女の夫とその息子、そして片桐の三人の男たちは彼女に注目し、彼女の次の言葉を待った。緊張が走る。

 片桐は、彼女と彼女の隣に座っている黒田の二人を交互に見やり、顔を振って背後に立つ息子の位置を確かめ、目だけを彼女と彼女の夫に向けた。彼女は片桐の視線が自分に戻ってくるのを待っていたかのように、ひとつ息をしてから話し始めた。ゆったりとした、落ち着いたトーンの、柔らかな声ではあったが、はっきりとした口調で。

「おイモは、お好き?」
「は?……」 思わず向き直った。
「ええ、おイモ。……お好きかしら?」
「イモって?……あ、あの……」 意表をつかれた。
「サツマイモよ。このへんは、美味しいおイモが採れるのよ。」
「このへん?……え、ええと……」
「そうよ。この子が小さい頃、毎年、秋になると近所の農家のご厚意でイモ掘りをしたものよ。」

黒田と黒田の息子がうなずく。

「そろそろ焼けるころかしら。ちょっと見てきてくれる?」

イモの焼け具合を確かめるように息子に告げて、視線を片桐に戻すと彼女は話をつづけた。

「大きくて、甘いのよ。すごく。」
「へええ、焼きイモですか。」
「そう。ホクホクでね。美味しいんだから。」

 この家の三人は、どうやら危険ではないらしい。片桐の緊張は少しだけ弛んだ。と同時に室内を見回す余裕ができた。レースの白いカーテン越しに、窓の外を吹きぬけていく木枯らしが巻き上げた枯葉が身を翻しながら、室内の灯りを受けて四角く切り取られた暗闇を横切るのが一瞬見えた。

 息子が焼きたての大きなイモを四つ、お盆にのせて戻ってきた。皮の焦げる香ばしい臭いがした。そういえば腹が減っていたことを片桐は思い出していた。すぐに片付けられる簡単な仕事だと思っていたのでコーヒーを一杯飲んだけで、その前に口にいれた食べ物らしいものといえば、昼に食べた牛丼だけだ(それも「並」だ。3杯食べたら1杯無料で食べられる、その無料の1杯だ。どうせなら得大盛にしておけばよかった。それだけじゃない。生卵と味噌汁とお新香とサラダもつけておけば…)。それもこれも、依頼の打ち合わせなど、すぐに済ませられると思っていたからだ。

 ところがどうだ。打ち合わせするはずだったのが、なんだかよくわからないことになっている。頭がイカレた婆さん(と呼ぶにはまだまだ年齢がいってないのだが、この際、そんなことにはイチイチかまっていられない気分だったのだ)と、その夫、そして息子の三人の意図が全く見えない。例の能力「テンカウント・リミット」も全く発動していない。発動する気配すらない。

「テンカウント・リミット」が全く発動していない?

…てことは、なにか? 危険ではないということで、ここは安心していていいんだな? なあんだそうか…。オッケー、オッケー。じゃ、のんびりさせてもらいましょう。腹も減ったし、美味そうな焼きイモにもありつけそうだし。嫌いじゃないんだよね、焼きイモって。甘々ホクホクの焼きイモ。ハフハフいいながら食べるのってサイコーじゃん。

「おイモを食べる前に、お願いしたいことがあります。」
「はい?」
「リンゴを剥いていただきたいのです。」
「リンゴ?」

イモを食う前にリンゴ剥け? どーゆーこと? なんなの、この黒田一家って……。

「ただ剥くだけではありません。ウサギさんに剥いていただきたいのです。」
「ウ、ウサギさんっ?」

頭の中を、手をつないで歩くウサギたちの姿がぐるぐる回っていた。みんな笑顔のウサギたち。バニーガールじゃなくて、白い毛皮で覆われたウサギたちのダンス。二本足で立ち、輪になって踊るウサギたち。赤い目でこっちにウィンクしやがったウサギたち。

らん♪らん♪らん♪…って、さくらも○こじゃねーっつーんだよ。

「ただ、ひとつ条件があります。」
「ウサギのリンゴに条件なんてあるんすか?」

もはや気分は半分以上なげやりになっている。

「ええ、ひとつのリンゴを8等分して、それぞれウサギさんに剥いていただきたいのですが、困ったことに、ウチには、まな板がありません。」
「なあんだ、そんなことですか。大丈夫です。慣れてますから。」
「本当に、お願いしてもよろしいのですか?」
「おまかせください。リンゴを切るくらい、なんてことありませんよ。」

片桐は、「もう、どーにでもなーれ♪」な気分になっていた。リンゴを切るくらい、ウサギに剥くくらい、どーってことないぜ。何をビビることがあるというのだ?

「それでは、こちらに置きます。」

真っ赤な、大粒のリンゴと、包丁(いわゆる三徳包丁とよばれる、一般的な家庭なら、どの家庭にもある刃渡り20センチ内外のアレ)をのせたお盆が運ばれてきた。

包丁? ナイフじゃなくて? ちょっと大ぶりの包丁ですか? リンゴを切るのに? ちょっと大げさじゃありませんか?

「テーブルには傷をつけないようにお願いしますね。」

え?……てことは、手に持ったまま切れということ?…と顔を上げると、黒田家の三人はにこやかな笑顔のまま無言で頷いた。

 よし。と片桐は左手にリンゴを持ち、右手に持った包丁の刃を、リンゴの経線に沿って慎重に押しあて、中心めがけて切り込んでいった。右手の包丁はなるべく固定したまま、リンゴの実を包丁の刃に押し付けるようにして、外周部から中心の芯を目がけて刃を入れていく。甘酸っぱいリンゴの香りが鼻腔をくすぐる。よく研がれている包丁だ。素直に刃が進んでいく。軽い手ごたえがあった。刃が芯に届いたのだ。

 いったん、そこで包丁をリンゴの実から抜き出す。完全に真っ二つにはしないで、中心まで一本切れ目を入れたところで止め、今度は、今入れたばかりの切れ目に対し、直角に交差するような角度で、再び外周部から中心へ目がけて慎重に包丁の刃を入れる。包丁の刃がリンゴの芯に届いた。石を切り出すようにして、4分の1に切り取られたリンゴの実がすべるようにして、その本体から離れた。

 ふぅぅ……。一つため息をついた。4分の1に切り取った実を、今度は縦に半分、つまり8分の1に切らねばならない。狙いをつけて刃を入れる。力を入れすぎてはならない。勢いをつけ過ぎると、リンゴの実を押さえて持っている自分の左手を傷つけてしまいかねないからだ。ここは慎重にも慎重を期さねば。

 するすると包丁の刃は進み、皮一枚を残したところまで切り進んで一旦力を抜いた。このまま押し切ると指まで切ってしまう。向こう側の皮に刃が最後の髪の毛一本分残して到達したことを確認した片桐は、包丁の刃先の、まさに切れている部分を支点にして、わずかに刃を傾けるように力を加えた。

 サクッ…と聞こえるか聞こえないかくらいの微かな音をたて、4分の1の大きさだったリンゴは8分の1に切り分けられて、片桐の左の手のひらに、コロンと身を開いて収まっていた。


第四話につづく

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by ちさと
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